岩鉱の研究紹介

 地球型惑星を特徴づける岩石とそれを構成する鉱物は,それらが経験した物理・化学的環境の様々な変遷を,反応組織や化学組成の不均一構造として記録したタイムカプセルであると同時に,天然の実験室がつくりだした様々な反応の生成物でもあります.岩石グループは,岩石・鉱物からから読みとることができる情報を,「リンク」をキーワードとして,相互に結び付け,過去・現在そして未来,地球表層からマントルに至るまでの幅広い時間的・空間的スケールで地球の姿を明らかにしようとしています.以下に,特に重点を置いて進めている研究を紹介します.

キーワード


岩石学からテクトニクスへ
 酸性火成岩類の形成過程を中心とした島弧地殻の進化や,沈み込み帯と大陸衝突帯などプレート収束域の岩石学とテクトニクスの研究を主目的としています.そのために,チベット高原や東アジアをはじめとする各地の野外調査と,採集した岩石・鉱物が記録している変形・圧力温度履歴を定量的に研究しています.野外調査では,酸性火成岩類が広く分布する東アジアの各地域や,地下数十km以深のプレート境界部で形成された変成岩類が露出している西南日本,中国東部秦嶺−大別山−蘇魯地域やチベット高原などを主な対象としています.室内では、岩石・鉱物の化学組成上の特徴や変形・圧力温度履歴を定量的に議論し、その結果得られたデータを用いて既存のテクトニクモデルの妥当性を検証するとともに,年代測定や数値計算による熱モデリングを加味したより新しいモデルの構築にも取り組んでいます.

造岩鉱物学と地球化学のリンク
 沈み込むスラブは,大規模な地殻−マントルの相互作用を引き起こしています.スラブを構成する鉱物の結晶化学的特徴を研究し,いくつかの鉱物の元素貯蔵相・輸送相としての役割を解明することにより,地殻ーマントル間における元素循環を論じようとにしています.





分光学と地球科学のリンク
 試料から様々な情報を読みとるためには,ミクロン(10-4cm)単位の分析が必要です.岩石学の分野では,これまでは、主に電子線を利用したEPMA分析がその主流でした.当研究室では,これに加えて,可視光レーザーを利用した顕微ラマン分光分析や顕微赤外分光分析の地球科学的分野への応用について検討を始めました.地球科学の分野にこれらの方法が本格的に利用されてからの歴史は浅く,まだ手探りの状態です.現在はラマン・シフトと化学組成,圧力や応力との関係についての基礎的研究を行ってます.近い将来,それらを変成岩や変形岩研究へ応用することを目指しています.→ 日本からの最初の天然ダイヤモンドの発見につながりました(詳細はこちら).


CHIME年代測定法は,鈴木和博教授(現年代測定総合研究センター教授)が当研究室在籍時に独自に開発した,これまでとは発想が全く異なる地質年代測定法で,高空間分解能且つ得られた値が自己検証可能であるという特徴をもっています.その成果は,年代測定総合研究センター(新年代測定法研究開発部門)へ引き継がれ,様々なタイムカプセルに記録された地球史のイベントに時間日盛りを刻む共同研究に大きな威力を発揮しています.